考え事

余は如何にして ラーズ・ウルリッヒとなりし乎

「8月は一本しか映画観らんなかったよ」と言ったら 「最近映画なんて全然観ないよ。参考になる?」と言われました。 参考になるかどうかでものを観たり聴いたりしてるわけじゃないので新鮮な言葉でした。 なんつーか、ギラついてます。 思えば僕も大学生くら…

課題のための試論

マレーヴィチの人物画では、身体が筒状のパーツの組み合わせとして描かれ、上半身と腰に左右逆の影がついているものがいくつかあります。(*1) また、後期の作品では頭、首、上半身…が様々な色に塗り分けられているものがあります。(*2) これは、それらが別々…

なぜエクスペリメンタル・ミュージックは女にもてないのか

シネマアートンは40席くらいですが、相米慎二の特集はそこそこの人気で土日には30席くらい埋まっています。 5本観ましたが、毎回30人のうち女性客は2人か3人しかいません。 なぜこんなにムサいのでしょう(笑) 例えばハワード・ホークスとか小川紳介のほうが…

30回目のデートで着ていく服

人が相談をするのは、ビジネスでもセックスでも、うまくいっていないときのことが多いように思います。 なぜうまくいってるときには相談しないのでしょうか。 そしてそれは正しいことなのでしょうか。 僕にビジネスの相談をする人などいないので(笑)とりあえ…

政治的主体と芸術的主体

「なかったことにして忘れたい」という気分に鞭打って、忘れないうちに書いておくことにする。 とは言え、今回ばかりは行こうと思っていたのに投票用紙が両親のところに転送されちゃったんだけどね。 ウチの世帯主は父なのだ。 東京都知事選の投票用紙が静岡…

野生の思考

芸術はしばしば「理解できる/できない」のレベルで論じられてしまう。 他者に観られることで成立するものなのだからこれはある意味で正しい。 その「他者」とは誰のことなのかが問題になるのだ。 このような問いが立てられてしまうのも、しばしば理解できな…

ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ

友達のベイビーにあげようと思って谷川俊太郎と岡崎乾二郎の絵本を買ったんだけど、これがまぁすごいのなんのって。 「ぶん 谷川俊太郎」ってなってるけど、「はぴぷぺぽ」しか使ってなくて全然「ぶん」じゃないのね(笑) 岡崎さんの絵も「生き物のように見え…

愛される女

一緒に雑誌を眺めているとき、ウチの同居人は恋の体験談やテクニックに対してとてもシビアな発言をする。 まぁ僕だって「くだらねぇ」と思う記事がないではなないけれど、自分では経験したことがないことに対しては基本的には「そんなものなのかしらん」とい…

美の基準

安野モヨコはマンガでもエッセイでも「めかす」と言う言葉をよく使うのだが、 絵を見ても前後の文を読んでもキャラ、あるいは彼女自身がどこをどう「めかして」いるのかいまいち掴めない、というような話を前に同居人としていた。 我々と安野のファッション…

教養

「教養がある人は大抵みな雑学もあるので勘違いしやすいが、 教養は情報ではなく、情報単位の間の関係性を発見する力である」 というようなことを内田樹が書いていた。 「浅田彰と言えばみんな『なんでも知ってる』と言う人が多いが、 あれぐらいものを知っ…

芸風

最近の土田晃之(1972年生まれ)は「自分語り」と「世代論」が目立つが、 その芸風は、お笑いと批評というフィールドの違いを超えて、 東浩紀(1971年生まれ)のそれとよく似ている。 己の思春期の頃の文化への思い入れ (土田:ひょうきん族、ガンダム/東…

理解しあえなくても共有はできる

最近、知人に恋人が出来たらしいのだが、 シュミットの映画でたまたま会ったときに一人だったので (まぁいつも二人でいるというわけでもなかろうが) 「彼女できたらしいじゃない。一緒に来ないの?」と聞いたところ 「シュミットの映画とか観る人じゃない…

タイミング

登山の途中、山頂に着こうかというところで携帯のメールが鳴りまして (そんなところまで電波が届くと思っていなかったので驚きです) 友人からのメールは、見れば内容は恋の話。 奥多摩の大自然になんとそぐわぬ内容だろうか、と失礼ながらまずは一人で笑っ…

喪失感

喪失の痛みというのは失ったときに感じるものじゃなくて それを受け入れたときに感じるものですよね。 「お父さんが『ただいま』ってひょっこり帰ってくるんじゃないかって…」 みたいな感覚は、喪失を「知っている」けれど「実感して」いない状態で、 喪失の…

あきらめたらそこで試合終了ですよ

先日も書いたのですが、 (死を除けば)人生にゲームセットはない。 クリスは死ぬまでマッチポイントに追い詰められたまま生きねばならないのですが、 それは精神的な意味でそうであるだけでなく、 例えば、殺人に使った義父の猟銃がいつ調べられるとも限ら…

「見せ方」について

ライブは10人くらいでの共同発表になるので 集まって練習したりメールで連絡を取りながら話し合いをするのだけれど 「わかりやすく見せること」と「やりたいことを見せること」の間でジレンマがあります。 (共同作曲というものをやるのは初めてなのですが面…

大人の社交術

僕は昔からお世辞を言うのがとても苦手で というかすごい嫌悪感があって、どうしても口に出せないのです。 そういうわけで僕に褒められたときは 間違いなく心からそう思って言っているので素直に喜んでください。 的外れな褒め方をする場合もあるでしょうが…

昨日の続き

幻想を見るのが人間だというようなことを書きましたが 野生生物にもこの種の幻想のようなものがあるとユクスキュルが書いてまして 「魔術的環世界」と彼は呼んでいます。ある種のカミキリムシは柔らかい果実の中で変態するのですが この果実は幼虫が蛹から成…

友情の複雑さについて

ロメールの映画なんか特にそうですが、 欧米人の男女は本当にスキンシップをよくしますよね。 頬を合わせて軽くチュッとするのは挨拶なのかもしれませんが 友達同士でも普通に手を握ったり、肩に手を回したり。 あれは単なる親愛の情を表しているだけでなく…

懐メロ

同居人がどこぞで拾ってきた「R25」に 氷室京介のインタビューが載ってまして。 こんなこと言っては大変失礼ですけど、 「現在の」氷室の音楽を聴きたいと思ってる人は少数のはずです。R25読者(25歳位がターゲットらしい)は BOOWY(←変換わからん)の頃や…

奴らを高く吊るせ!

亀田一家のことは全然好きではないですが 持ち上げるだけ持ち上げといて狂ったように貶めるマスコミや それに同調して叩く連中は、本当に無分別でバカで醜い。しかし、そうやって奴ら(バッシングする連中)を批判することは 即座に奴らと同じ土俵に立つこと…

具現化されたものよりも重い時間がある

『NANA』の主人公ナナは惚れた男、蓮の名前からとって 蓮の花の刺青を腕に彫ってるわけですが、それを見た同居人は僕に 「あんたに惚れた女はブタの刺青を彫るのかねぇ」とおっしゃる。 似てはいるけど僕の名前の字は「豚」ではないのですが そんなことは本…

年齢不詳

僕も歳がわからないと言われるほうですが 僕よりももっと年齢不詳な人は周りにけっこういます。 共通する特徴だと思うのは、みな歳相応に振舞わないこと。 まだ28歳だからとか、もう28歳だからなどということを考えない。よく「内面から出る若々しさ」みたい…

意識は言語に規定される

小熊英二の『インド日記』に 日本語の『協調性』を英語ではどう翻訳するか議論になったが、『同化 assimilation』がいちばん適切だという結論をインド側の人びとは下した」 という一文があります。 せっかく小熊英二の本を読んだのナンですが、今日もスター…

僕だって猫は好きである

mixiの大島弓子コミュニティで密かに話題になっているのが 『グーグーだって猫である』の映画化の話。 ネットで検索してもあんまり情報でてこないけど、 監督は犬童一心だ、とか本気っぽい噂(あくまでも噂)もちらほら。で、僕その書き込み読んだときすごく…

「切っても切れない二人」にもいろいろなバリエーションがあるのだ

Wコージはコンビの割合を増やしたほうがいいんじゃないかという話。 僕が今、ビデオを予約してでも見逃したくない番組は 『やりすぎコージー』と『検索ちゃん』の2つ。 両番組の司会、Wコージと爆笑問題の共通点と相違点とはいかに!爆笑問題がピンで活動…

あややの話

もちろん松浦亜弥ではなくて若尾文子のことです。 ちなみに僕が最近まで「若尾ふみこ」だと思ってたのはナイショです。BAILAとかDomaniとかって僕にはさっぱりわからないのですよ。 30代女性ファッション誌がわからないと言ってもいい。 CanCamは好きではあ…

サッカー問題

しつこく昨日の続き、と言っても今日は結論は無いですよ。 人は全てについて考えることはできないという話。 例えば僕は正義や悪や神やセックスや芸術や音楽や映画… については考えているけれどサッカーについては何も考えていません。 正義や悪や神や…にし…

昨日の続き

正義や悪と言ったものは実体としてあるわけではないけれど それを無いと言ってしまうこともまた間違っています。 実体としての正義や悪などというものは 「テロとの戦い」というようなおぞましく かつ悪い冗談としか思えないようなものになってしまう。 昨日…

悪意の連鎖を断ち切れるか

ヴェンダースやストローブ=ユイレを観てからちょっと考えるところがあります。 ストローブ=ユイレはテロリストを自称するほどの戦闘的政治姿勢にも関わらず その映画は徹底的に現状認識的で「それより先」 つまりその現状に対する働きかけがないのですね。…