2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ダニエル・シュミット『ラ・パロマ』

シュミットは、フィクションの映画はもちろんのこと、 その妙なドキュメンタリーに至るまで徹底して虚構を撮る人です。 『今宵かぎりは…』はあり得たかもしれない架空のパーティであり 『書かれた顔』はあり得たかもしれない架空の玉三郎であり、 この『ラ・…

1月の踊るロード賞!

フィリップ・ガレル『失われた恋人たちの革命』 冨永昌敬『シャーリー・テンプル・ジャポン』 ダニエル・シュミット『今宵かぎりは…』 マキノ雅弘『次郎長三国志 第一部』 ソフィア・コッポラ『マリー・アントワネット』 最近、シネマヴェーラ、フィルムセン…

1月の踊るヒット賞!

Cornelius『Sensuous』 Kaskade『Here & Now』 Kip Hanrahan『Desire Develops An Edge』 Combo Piano『Agatha』 Martha Argerich『Schumann: Kinderszenen, Kreisleriana』 『クライスレリアーナ』は「弾けたらいいだろうなぁ」と思う憧れの曲ナンバーワン…

ダニエル・シュミット『今宵かぎりは…』

冒頭で映し出される城は、ヨーロッパのどこかに存在する城などではなく、 隠り世の中に一時的に出現した幻の城です。老女が客(召使)たちを招き入れるシーンでは 部屋の入り口がまるで鏡のようで、 鏡の向こうからこちら側に入ってくる客たちは その入り口…

喪失感

喪失の痛みというのは失ったときに感じるものじゃなくて それを受け入れたときに感じるものですよね。 「お父さんが『ただいま』ってひょっこり帰ってくるんじゃないかって…」 みたいな感覚は、喪失を「知っている」けれど「実感して」いない状態で、 喪失の…

キム・ギドク『弓』

『サマリア』が割と普通の映画だったので ギドクも「変態」を使わずに純愛を描こうと試みているのだろうか、 新たな表現の模索してゆくのかしらん?などと思ったのも束の間、 最新作は今まで通りの変態映画でした。なんやっちゅうねん。しかし、今までの映画…

樋口工芸

この種の表記(車体の右側面の右読み)が無くならない理由がよくわかりません。

キム・ギドク『サマリア』

ギドクの映画の主演女優の顔がどれも好きではなくて 趣味が合わないなぁと思ってたんですが この映画の主演は二人ともかわいいです。 ハン・ヨルム(ソ・ミンジョン)当時20歳。 『弓』では22歳で16歳の役をやってますが 学歴社会で俳優も大卒が多い韓国では…

マキノ雅広『次郎長三国志 第一部・次郎長売出す』

ハスミンの話では1年前のシネマヴェーラのオープンの時には客が4人しかいなかったそうですが(笑) 今日は満員御礼、お立ち見でした。階段に座って観たからおケツが痛いです。 三本立てを立ち見で観るなんて高校生の頃に観たゴダールのオールナイトを思い出し…

無題−メモ帳

内容は色々とありますが、思いついたことをメモするほうなので いつもメモ帳は持ち歩いているのですが メロディ(のようなもの)をメモしたいときもあり、 五線譜をメモ帳の替わりに使うことを思いついたのでした。 かさばるのは嫌なので小さいのはないもの…

山中貞雄『河内山宗俊』

まぁ残ってるだけでも貴重なんで文句は言えませんが 音の状態が悪くて何を言ってるんだかさっぱりわかりません。 しかし、セリフが半分以上聴き取れなくても内容はわかる。 かなり複雑な設定にもかかわらず状況は明快で コメディから人情、チャンバラととに…

前衛の成立

戦後の前衛音楽が花開いたのはドイツのダルムシュタットです。 「戦後の」などと書きましたが、そもそも戦前の前衛音楽 (新ウィーン楽派やヴァレーズ、メシアンなど)は超マイナーでして 彼らが評価されたのもダルムシュタット以降の話で 「前衛音楽は戦後…

あきらめたらそこで試合終了ですよ

先日も書いたのですが、 (死を除けば)人生にゲームセットはない。 クリスは死ぬまでマッチポイントに追い詰められたまま生きねばならないのですが、 それは精神的な意味でそうであるだけでなく、 例えば、殺人に使った義父の猟銃がいつ調べられるとも限ら…

行かなくちゃ、君に会いに行かなくちゃ

傘をなくしました。 けっこう気に入ってたんですけどね…。 気に入ってれば失くさないと思ってたんですけどね…。 服屋で試着する時にラックに掛けてそのまま忘れたのですが、 家を出たときには雨が降ってて、後で晴れたのが災いしました。 降ってればお店を出…

「見せ方」について

ライブは10人くらいでの共同発表になるので 集まって練習したりメールで連絡を取りながら話し合いをするのだけれど 「わかりやすく見せること」と「やりたいことを見せること」の間でジレンマがあります。 (共同作曲というものをやるのは初めてなのですが面…

大人の社交術

僕は昔からお世辞を言うのがとても苦手で というかすごい嫌悪感があって、どうしても口に出せないのです。 そういうわけで僕に褒められたときは 間違いなく心からそう思って言っているので素直に喜んでください。 的外れな褒め方をする場合もあるでしょうが…

ウディ・アレン『マッチポイント』

ウディ・アレンの面白さは会話にあるというよりも セリフ回しももちろんそうですが、 顔まで含めたキャラクター造形の上手さにあると思います。 僕はクロエのキャラクターがとても好きなんですけど、まず顔がいい。 育ちもよく人がよさそうで、美人なんだけ…

寒い夜だから

新聞もテレビのニュースも見ないのでしらないんですが今年は暖冬なんでしょうか? 毎年この年が明ける頃には「真冬には寒いんだよなぁ」と思うちょっと薄手のコートが 今年はまだ寒くないんですがどうなんでしょうか? ダウンの下はウールじゃなくて綿のセー…

増村保造『曽根崎心中』

劇画的と言うか紙芝居的と言うか… 「若尾時代」のリアリズムからの脱却を図っていたのでしょうか。 ずいぶんと仰々しい演技です。 梶芽衣子は元々大きな目をカッと見開いて 瞬きすらしないのでちょっと怖いです(笑)そのような演技に対応するかのように この…

ぐるっとパス

http://www.rekibun.or.jp/grutto/index.html ↑これ知ってる方いますか? 同居してる方の話では 「なんかイマイチなラインナップだけど 三つ行けば元は取れるから買ってもいいんじゃない?」 とのことだったのですが、買ったことある人教えてください。

須川栄三『君も出世ができる』

とにかく曲が最高です。 谷川俊太郎の歌詞もよいけれど黛敏郎がすばらしい。 ちょっと調べたらかなりの数の映画音楽を書いていて (僕はほとんど観ていないけれど) 「ああ、あれも」というようないい仕事をしています。「タクラマカン」と歌う高島忠夫と「…

ヒップアタック

知人に誘われて『アメトーク』(テレビ朝日)の収録に行きました。 かなり好きなメンバーがゲストだったので期待してたんですが 土田と品川があんまり喋ってなくて ケンコバが一人でがんばってる感じでした。しかし土田も品川もトーク番組ではマスタークラス…

冨永昌敬『シャーリー・テンプル・ジャポン』

環境音(鳥の声や街宣車の音)の使い方や 町長候補夫妻とそこに寄生するプー太郎という取り合わせ、 3つのカメラ位置(けっこういいかげんでぶれているけれど(笑))の間のパンと 数カットのみで成り立たっているカメラワークなどなど、 パート1はあきらかに…

信仰の厚い人々?

「Destiny's Child」を筆頭として「All Saints」や「Eternal」 なぜか日本にも「Trinity」なんてのがいましたが なぜガールズグループにはこんな名前が多いのでしょうか。 「Spice Girls」みたいに関係なさそうな方々もいますけど。「TLC」は何の略なんだろう…

アレクサンドル・ソクーロフ『太陽』

『エルミタージュ』で盲目の老女が見た絵は この映画でヒロヒトが言っていた 「明治天皇が皇居で見たオーロラ」と同じものです。 物理的には存在しないにも関わらず 確固としてそこに存在するもの。それはもちろん幻想にすぎませんが 単なる迷信だと言ってし…

昨日の続き

幻想を見るのが人間だというようなことを書きましたが 野生生物にもこの種の幻想のようなものがあるとユクスキュルが書いてまして 「魔術的環世界」と彼は呼んでいます。ある種のカミキリムシは柔らかい果実の中で変態するのですが この果実は幼虫が蛹から成…

アレクサンドル・ソクーロフ『エルミタージュ幻想』

ワンシーンワンカットと言えば もちろん一台のカメラ(単一の視線)で撮ってるわけで ソクーロフ自身の視点だと思われるナレーションともあいまって 非常に一人称的な色合いの強い画面になっています。人間の視線には映画のようなカット割りなどないわけで、…

足の裏に残る感触

久々に実家に帰って2階に行く階段を昇ったとき 懐かしいような何とも言えない感覚をおぼえました。 もちろん階段なんてほとんど毎日昇ってますが その家を出て7年近くになりますから 「家の階段」を特別なものとして感じたのかもしれません。と思ったんです…

ベルナール・エベール『ラララ・ヒューマン・ステップスinベラスケスの小さな美術館』

同居している方が借りてこいと言うので借りてきたビデオで 全く予備知識なしで観た映画です。と最初に言っておきましょう。 モダンバレエだかモダンダンスだか(違いがわかりません)の ダンサーたちがベラスケスの絵の中の世界で踊りまわるお話。物語仕立て…

存在感

「○○ちゃんって人とぶつかりそうで危なっかしい」 と、友人が言われたそうなのですが 確かに僕も彼女のことを危なっかしいと思っていたものの 彼女が人にぶつかったところなど見たことがない。「おいおい!そんなところで?」という場所で 立ち止まったり横…