存在感

「○○ちゃんって人とぶつかりそうで危なっかしい」
と、友人が言われたそうなのですが
確かに僕も彼女のことを危なっかしいと思っていたものの
彼女が人にぶつかったところなど見たことがない。

「おいおい!そんなところで?」という場所で
立ち止まったり横切ったりするのですが
彼女の中には、僕とはズレているけれど
明確な安全基準というものがあるのかもしれない。

別の可能性として、彼女の存在が異様なので
他の人が彼女を避けて歩こうとする故にぶつからない
という要素も少しはあるのかもしれません。


別の友人の話。
彼女は、この前会ったときも
その前に会った時にも人にぶつかられていました。
僕の横を僕と同じ速さで歩いているのにぶつかられるのは彼女だけ。
偶然かもしれないけれど、彼女がしてくれた別の話を聞いて
偶然じゃないかもしれないと思いました。

以前、CD屋で「そんなに欲しいなら買ってあげようか?」
と、知らない男性に後ろから抱きしめられたのだそうで。
彼は自分の恋人と勘違いしたようなのですが
あまりに自然だったので一瞬固まってしまったとのこと。

思うに、彼女はカメレオンのように存在感が希薄で
その場の空気に感染してしまう性質があるのではないかと。
街では雑踏の中に溶けてしまって人に気付かれず、
CD屋ではその男性の恋人にシンクロしてしまったのではないか。
まぁ僕は鈍くて彼女がそれほど人と違うようには見えないので
本当にそうなのかはわからないのですが。


最後は我が妹の話。
僕たち兄妹は親戚や共通の知人には似ていると言われないのですが、
初めて両方に会った人などには似ていると言われます。

妹が大学時代に一番仲がよかった同級生は
僕から見ると顔なんて全然似ていないのですが、
二人でいると「双子みたい」と言われたり
髪型が違うのに担当教授に間違えられたりしたそうです。
人の顔を見分けられない美術批評家とはいかがなものか、
などと思わないでもありませんが(笑)

驚くべきことに、彼女は高校の同級生とも
一緒にいると「そっくりだ」とたまに言われるとのこと。
前述の大学の同級生とは身長や体系、ファッションの傾向も近く
雰囲気が似ていると言われてもおかしくないと思うのですが
この高校の同級生のほうは、
僕の目から見て似てるところが全くないのですが…

要するに我が妹も「隣にいる人に感染してしまう」
という性質を持っているのではないか。
どこがどう似るのかはよくわからないのですが。


以上、身の回りの不思議な生き物たちの話でした(笑)