ティーチイン

プロデューサーのジャン=マルク・ラランヌによるティーチインがあったので、僕が面白いと思ったとこだけ要点を。
メモも取ってないし不正確なので信じないように(笑)


1、ドゥルーズの『シネマ』によれば、時間を線的に描く作家と円環する螺旋のように描く作家がいる。
後者の代表がルノワールとオフュルスで、ルノワールはその円環から脱して現実に戻る瞬間を描く作家で、オフュルスはそこから逃れられない人物たちを描く。


ドゥルーズはドゥミの映画についてそのような分析を行っていないが、ルノワール、オフュルスを共に敬愛していたドゥミは両方から影響を受けている。
『天使の入江』の二人は円環から逃れ、『シェルブールの雨傘』は円環の中の人物たちの物語である。


ちなみにこの特集のサブタイトル「結晶(クリスタル)の罠」は閉じ込められた者たちを意味する。
実際ドゥミの映画にはクリスタルに閉じ込められるイメージが何度も出てくる。『ロバと王女』の王妃の棺、『ロシュフォール』のガラス張りのカフェ。


2、よく聞き取れなかったのだが、『天使の入江』のジャンヌ・モロー演じる主人公は「ジャッキー・ドなんたら」という名前だそうである。
これは「ジャック・ドゥミ」の名前を女性風にしたもので、つまり彼女はドゥミの化身である。
70年代以降、資金難と不人気で思うような作品を撮れなかったドゥミだが、ジャッキーと同じように勝っても負けてもルーレットの同じ目(すなわちドゥミで言えばミュージカル仕立てのおとぎ話)にこだわり、それに賭け続けた。


3、『天使の入江』の囚われた女を男が救い出すというイメージはコクトーの『オルフェ』から来ている。
同じくオルフェを主人公にした『パーキング』はコクトーへのオマージュであると同時に『天使の入江』の反復でもある。