昨日の続き

美しさには「AよりBの方が」という比較の他に
「AはBの何倍」というような比較もあります。
やはり美しさには量的な大きさがあるのです。
にもかかわらずそれが足せないのはなぜかと考えたとき
思い当たることがありました。

サルまん』で
「862個のリンゴと8個のナスを足して870個」という竹熊健太郎に対し
「862個のリンゴと8個のナスを足しても、それは862個のリンゴと8個のナスであって
断じて870個などではない」と相原コージが反論するシーンがあります。
数量があるにも関わらず足すことが出来ないのはなぜか。
それはリンゴとナスが同質性に還元できないからです。

これを美しさの例に照らせばどうなるか。
Aの美しさとBの美しさに量的な差異はある。
がその美しさは別物であって同質のものとして扱えない、故に足せない。

同質性に還元できるものなら足すことが出来るでしょう。
例えばリンゴとナスの重量とかビタミン量とか、
Aを見たときとBを見たときに出た脳内物質の量の合計、とかね。
しかしリンゴをビタミンに還元すればリンゴでなくなるのと同様、
美しさを脳内物質に還元することもできない。
よって美しさは比べられるけど足せないのです。