エリック・ロメール『緑の光線』

デルフィーヌ(マリー・リヴィエール)ってエレガントですねぇ。
こんな女がいたら一発で恋しちゃうわ!

はてさてロメールの最高傑作などとも言われ
観ればそれに納得せざるを得ないこの映画。
言うまでもなくこの映画は光線の映画なわけです。

山の上に立つデルフィーヌを照らす陽光が
雲に遮られてふっと暗くなる瞬間
そのあまりの美しさに背筋が凍りつきます。
ヴェルヌの「緑の光線」の話をする老人達を照らす
夕暮れのオレンジの光の柔らかさ。
そこに吹く風の匂いまで感じられるようです。
ラストショットだって冷静に考えれば
ただ夕日が水平線に沈んでいくのを写すだけです。
それだけのことにここまで感情を揺さぶられることになるとはね。

でもね、やっぱり人間の映画でもあると思うのですよ。
陽光に照らし出されてその存在を濃密にさらす肌とか
逆に山の上や話の中で一人の時のデルフィーヌは
その存在を希薄にしながらその自然に身をさらして光や風と共振している。
やっぱり女あってロメールですからね(笑)