マサルさんとゲームの規則

うすた京介の『すごいよ!マサルさん』で
マサルさん王様ゲームの王様になったとき、
「王様が命令をするゲームだ」と教えられたマサルさん
「3番は5番の足に気をつけろ!」と言います。
「ちがーう!」と突っ込まれるわけですが、いったいどこが違うのか。

「番号を指定して命令する」
という当初想定されていたルールには則っていますが
明らかに間違っています。
考えるのが面倒な上にバカらしいので(笑)
厳密な「王様ゲームのルール」の考察は省きますが、
マサルさんの逸脱によって、
王様ゲームのクリティカルポイントが露になったと言えましょう。

このギャグの面白さはある種の芸術作品の面白さと同じものです。
単なる文脈の参照にとどまらず、
音楽だの映画だのと言った概念自体を更新してしまうもの
真に面白く恐ろしい作品は上のようにして現れます。

ほぼ直観的にそのような作品を作り出したマサルさん(と作者のうすた)は
蓮實重彦の言う愚鈍さ(ほぼ天才の意)に属しますが、
王様ゲームの厳密な考察によって
このようなクリティカルポイントを見出すことも可能である
と僕は信じたいところです。

なにが言いたいかって、いつもと同じですが
音楽に関して凡庸な才能しか持ち合わせていない僕でも
マサルさんのような行為が可能なはずだ、と言いたい訳です。
もちろんそれには「厳密な考察」が必要なんですけど。