MUSIC/SOUND

さて、今日の講義は音楽家エドワード・ショッカーでした。
若いしそんな有名じゃないんでみんな知らないでしょう。
僕もアナウンスされるまで知りませんでした。
通訳無しの英語の講義だったので、
わかりやすい語彙でゆっくり喋ってはくれたけど
半分も理解できているかどうか怪しいところ(笑)

http://www.jacksonpine.com/Edward.html
↑左の方にMP3もありんす。
『sleepingdream』は電気っぽく聴こえるけど生音です。
グラスハープと、アルミの棒だかなんだかを擦る音。
「この曲の詩は誰のなんて詩ですか?」って質問した人がいるんですが、
「彼女が思いつきで勝手に喋りました」とのこと。

実践編では、各自が持ち寄った音のでる物(缶、定規、シェーバー等)で
それぞれ5つの音を出す方法を各自考えよ、と言います。
例えば缶なら、机を叩いたり、ペンで叩いたり、擦ったり。
そして、8人グループになって、指揮者(ショッカー)が
誰にどの音色をどのように出すかを指示する、という曲。

楽器、音色選びは各自にまかされているし、
音の出し方も大まかには決まっているものの、各自の自由。
ショッカー自身が制御できるのはそれぞれのタイミングのみです。
これは観るのもやるのもとても楽しい。

もう一曲は、ショッカーが何か音を出すのを聴いて、
他の演奏者がそれと対立するイメージの音を出す、というもの。
グラスの縁を小刻みに叩く音に対し、
ある人は窓のブラインドを激しく引っ掻き、
ある人は机の裏をゆっくりと叩く、ってな具合。
何を対立と捉えるかは当然、演奏者の判断に任されています。
これ、観るのは楽しいけど、やるととても難しい。

彼の曲に共通して感じるのは、
制御できないものを制御しようとし、
制御できるものの制御を解除しようとする欲望です。
講義の最初に"music"と"sound"の違いはなんだと思う?
と何人もの人に質問していたのですが、
制御された音=music、制御されない音=sound、と言えるわけで、
彼は音楽の可能性をその中間に見出していると言えましょうか。
巻上さんの「失敗してこんななっちゃった」
というコンセプトと近いものがありますね。