姫様/殿下/陛下

一昨日の夜中に『朝まで生テレビ』の天皇の話を半分くらい観まして、
思うとこあって、昨日は『風の谷のナウシカ』を読んでました。

マンガ版ではアスベルは完全な脇役で、
ナウシカの対になるのはクシャナ殿下です。
んで、主人公二人が王位継承者だってことは、
このマンガでは決定的に重要なのですよ。

彼女たちの魂の高潔さの源泉は
王の子として産まれ、王になるべく育てられたことだからです。
もちろん、クシャナの愚かな兄たちの例もありますから、
王であることは必要条件であっても十分条件ではないんですけど。

宮崎作品にも、平民が世界を救う話がありますけど、
コナン、ルパン、パズーは、それぞれ、
ラナ、クラリス、シータの正統性の力を借りずして
世界を救えなかったはずなのです。

彼らは基本的にアウトローですから、
悪人をやっつけるヒーローにはなれれても、
民衆をまとめるカリスマにはなれません(なる気もないでしょう)
ナウシカがただの風使いのお嬢ちゃんだったら
ああいう物語にはならなかったでしょう。

こんなこと書いて何が言いたかったかっていうと、
日本で一番ナウシカに近い存在は陛下だよなぁ、と。
民の平安を心の底から願ってる人なんて陛下以外いないでしょう。
議員や官僚だって結局は労働者ですしね。
かかえる苦悩の高貴さと深さにおいても、
凡俗の想像を絶するものがあります。

一応断っておくと、僕はゴリゴリの左翼なんですね。
イデオロギーと個人的感情は別物であって、
例えば三島由紀夫は、本来ならば死刑になっていたはずなのに
退位すらしなかった昭和天皇個人のことは軽蔑していましたが、
にもかかわらず「天皇陛下万歳!」と言っていました。

そういうわけで、僕が陛下個人のことが好きってのと、
天皇制に反対であることは、別に矛盾しないわけです。
そこんとこよろしく。