鈴木清順「東京流れ者」

「狸御殿」がなかなか借りられないのでこっちで。
「殺しの烙印」もわけがわからないけれど、
この映画もわけがわからない。
いや、ストーリーはいたって単純なんだけど
どこを面白がればいいのかがわからない。

と、ここまで考えてやっと理解した。
つまりはどうでもいいってことだ(笑)
どうでもいいから、この映画みたいに
あって無いような筋の話も撮れるし
まったく筋が無い「殺しの烙印」
みたいな映画も撮れるわけだ。

つまりは撮りたい画面だけで構成された映画と言える。
からくり仕掛けみたいなガンアクションとか
舞台装置みたいな照明を使うには
ストーリーの整合性はむしろ邪魔なわけだ。
画を犠牲にしてバランスを取るか、
筋を犠牲にして画の美しさを取るか、
という時に、清順は迷わず後者を取る。

なかなか勇気付けられる話である。
トータルバランスなど後付で適当に考えておいても
作品として成立させることは十分可能だ、
ということの証明なのだから。
そのせいで日活をクビになったりもしたわけだが(笑)