生活

我が家には『ku:nel』とか『ELLE DECO』とかいう雑誌が何冊かあって
必要半分、暇つぶし半分てな感じで読むわけですが、
衣食住の「食住」にとんと興味のない僕にとっては
つまらなくはないけどワクワクはしない雑誌なのです。
んで、それらの雑誌の中には
「洗濯をすると気持ちまでさっぱりする」人とか
「好きな物たちに囲まれて至福の時間をすごす」人とかが載ってて
最初はただ理解できないだけだったんですけど
最近その人たちを羨ましく思うようになったのですね。

例えば同じ映画を観たり同じ音楽を聴いても
そこから豊かな情感を引き出せる人と
貧しい情報しか読み取れない人がいます。
同じように、生活を楽しむ「能力」がある人とそうでない人がいて、
僕はどうやら後者に属するらしく、
部屋を片付けるのが苦痛でたまらないし
料理は嫌いではないけど楽しくてたまらないものでもない。

もちろんきれいな部屋や美味しい料理は好きですけれど
そこに至る過程を楽しむことができないのですね。
セックスは好きだけどデートは嫌い(←僕のことじゃないですよ)
という人の貧しさに似ています。
僕は服は好きだけど洗濯は嫌い(洗わないわけじゃないですよ)
なんで「衣」も同じようなものかもしれません。

芸術やスポーツと衣食住が違うところは
前者が嫌ならやらなくたって構わないものであるのに対し
後者はお手伝いさんを雇えるほどお金が余っていない限りは
生きている以上避けることができないという点にあります。

僕は芸術を楽しめない人を不幸だとは思わないし、
(もったいないなぁとは思いますけど)
スポーツを楽しめない自分を不幸だとも思わない。
(損してるよなぁとは思いますけど)
でも生活を楽しめないのは不幸だよなぁと思います。
週に何時間かは炊事洗濯火事親父(嘘)をやらねばならないわけで
そこから快楽を引き出せれば幸せだろうと思うわけです。

僕は芸術を楽しむ能力は「資質が3割、訓練が7割」位だと思っていて
生活を楽しむ能力が芸術と同じようなものならば
おそらく生活のほうも同じようなもんだろうと思ってるわけです。
今はつまらない『ku:nel』を無理から読んで
無理やり部屋を飾って無理やり飯を作っていれば
そのうちそんな時間を楽しめるようになるんじゃないかなぁと思ってるわけです。
がんばらねば。