拡張

僕の見た限りではですが、寺院も王宮もあんまり面白くないんですよ。
金キラで悪趣味(笑)アユタヤの寺院はよかったですけど。
街のほうが圧倒的に面白い。

様式はわからないけど、
フランスの映画に出てくるアパートみたいのが多いです。
そこに日本より所狭しと電柱が並んでて
日本の数倍はあるんじゃないかってくらいの電線が走ってる。
電柱って日本の風景を醜くしてるものの象徴みたいに言われてるけど
タイで見ると猥雑感を増強しててカッコイイ!って言いたくなる。

これってオリエンタリズムなのかなぁって思うわけですよ。
もしかすると僕が醜いなぁと思ってる日本の住宅地も
外国人から見たらファンタスティック芸者ワールドなのかもしれません。
そこんとこはわからない。

ただタイでも新興住宅地みたいなところは全然美しくないです。
同じ形で色が違うマンションとかが並んでるのとかは面白いっちゃ面白いんですが、
同じ形のペンションみたいな家とかはやっぱりつまらんですよね。
高級そうな住宅地の間にウィルスみたいにスラムが侵入してたりするのも面白いです。

同じ形の家が何十軒もならぶ住宅街がいっぱいあるんですけど
それにも古いのと新しいのがありまして、新しいのはつまんないけど
古いのはガンガンに改築(たぶん住人が勝手に)してて面白いです。
生活の匂いが感じられるところは集合住宅でも美しいですね。
大体どこの家にも気が植えてあるし、
ベランダに色とりどりの屋根がついてたり、
部屋を増築したり物干し台を所狭しと並べたり
拡張性こそがタイの本質なのでしょうか。

ガイドさんが「ビルマと44回戦争をしました」って言ってましたけど
領土を拡張したいという欲望からきた戦争じゃないのかなぁ(しらんけど)
きっと吹っかけたのはタイ側だろうなって勝手に思いました。

タイにニューハーフが多いのも
アナルを拡張したいという欲望に根ざしてるのかもしれませんね。
オカマは見ませんでしたが歓楽街のホステスのおねーちゃんは
めまいがするほど綺麗でした。

やっぱね、たちんぼのおねーちゃんよりもホステスのほうが綺麗なんですよ。
それは性的魅力が商品として数値化(お値段のことね)されるということ。
コンビニで連れが買い物してるときに横にいたおねーちゃんが
ここ2、3年で会った女性でもいちばん綺麗なんじゃないかっていうくらいでして、
柄谷が労働者の抵抗の可能性はボイコットにあるって言ってたんで
なんだかんだで僕は我慢しちゃったんですが(ちょっと後悔)
それが商品として買えると言うことの魅力は抗い難いものがある。

それに抵抗できるものがあるとすれば「愛」しかないでしょうか。
ボイコットを可能に出来るも「愛」ぐらいしか考えられません(「恥」もあるかな)
絶対王政下の貴族の恋愛を模倣して始まった近代のロマンティックラブは
当然のことながら資本主義の産物と言えましょうが、
やはり資本主義を模倣しつついかに底から逃れられるか、ということに
愛の可能性がかかってるんじゃないかと思うわけですよ。
どうやったらいいのかは知らんけど。