ロバート・ワイズ『アンドロメダ・・・』

地球外の細菌(みたいな生物)による
いわゆるバイオハザード物。
なんだけど、この映画の何が面白いって、
大事件が起こってるのに画面が全然動かないとこですね。
普通の意味での「リアルな描写」ってヤツ。
でもこれをSFでやるとここまで面白いのね。

主人公は4人の科学者で、
行政官とか住民がほとんど出てこなくて
パニックにもならないし、アクションもほとんどない。
(最後に蛇足的にアクションがあったけど)

「やんなっちゃうわ。タバコ吸わせてよ」とか言いながら
延々と滅菌しながら施設の内部に潜ってったり
あとはひたすらコンピュータの画面とにらめっこして
「やったぞ!みつけた!」で、めでたしめでたし
(↑ホントはちょっと違うけど)

主人公の一人が感染しちゃうんだけど、
扉をたたいて「うが〜!」とかいう描写もないし、
あと数分の命だってのに(結局助かるんだけど)
「とりあえず純酸素を送るぞ」「ああ、怖いな」
といたって冷静なんですね。
その冷徹な描写が地味にサスペンスを盛り上げる。

主人公は4人とも中年で、
キャラクターとしての見せ場は全然なく、
彼らの人間描写は簡素かつ性格に最低限に留められていて
ひたすら美麗でマニアックな施設と機材の描写なんですね。
予算どのくらいか知らないけど、
「ある程度金かけて作ったんだから徹底的に見せるよ!」
っていう姿勢がいい。そしてちゃんと魅せてるからすごい!