カール・ストーンがやって来た

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↑soundで試聴もできます


現在のような意味での「引用」の概念がなかったころから
コラージュなどによって音楽を作ってきたカール・ストーン
配られた資料によると「サンプリングの帝王」などと言われているらしい。

フェラーリもそうだけど、ストーンも
元ネタとなる音の意味を保持したままそれを変形する。
これをうまくいう言葉はないかと思っていたのだけど、岡崎さんが
「絵画においてはイメージとテクスチュアは違う」と、質問で発言し、
「いま>>1がいいこといった!」 と、偉く納得したのでした。

イメージとテクスチュアの違いは正確にはわからないけど、
たとえば犬のイメージと言えば、
犬と認識できる図像のことを指し
犬のテクスチュアと言えば
普通の意味での質感、例えば毛並みなどでしょうか。

ムソルグスキーの『展覧会の絵』のフレーズや
矢野顕子の声をサンプリングして曲をつくるのですが、
この時『展覧会の絵』のイメージを保持したまま
テクスチュアだけを微細に変化させていき
次第に『展覧会の絵』のイメージをもずらしていく。

曲のある一部分だけ取り出して聴くと
展覧会の絵』の絵のサンプリングだと認識できるかどうか
(つまりイメージを保っているかどうか)微妙な部分もあるんですが
暫時的な変形であることによって
展覧会の絵』の引用であることが常に意識に残っており
その記憶リソースを利用することによって
イメージの変形をより豊かなものにしているわけです。