神代辰巳『青春の蹉跌』

ホントだったらロマンポルノが観たかったんですけど
時間が合わなくてコレになってしまいました。
いや、おもしろかったからいいんですけど。

貧乏学生が、成金の娘との婚約に邪魔な恋人を殺す、
という全く救いようのない話でありまして
原作は読んだことないけど、
健一郎(萩原健一)と、桃井かおり演じる恋人(名前忘れた)の
愛憎の間での揺れが主題なのでありましょう。

映画ではそのような感情の揺れが
映像として刻みつけられているのを観ることができます。
健一郎の二面性は、ローラースケートを履いて軽快にすべる冒頭のショットと
次の、ゴツゴツと体をぶつけ合うアメフトのシーンの対比から現れています。

桃井が妊娠5ヶ月だと知ったあと、
最初は優しく、次に痛いくらいに彼女の鼻を噛みますが、
これは彼の両義的な感情を示しているのでしょう。
殺人の直前の雪山では、
女は半ば殺される事を覚悟しながら男を愛し、
男は恐らく殺す気でいながら女を愛している様子が描かれ
画面全体が二人の感情によって震えているかのようです。

ショーケンは全く感情移入する余地のない下衆として描かれていますが(笑)
それでも彼の青春を美しい、と感じてしまうのだから
映画ってはすごいもんだと思います。


どうでもいい話。
この映画の桃井かおりは普通の顔とあえぎ顔が同じです。
要するに年中あえぎ顔です。
まぁそういう演技なんでしょうけど
ショーケンじゃなくても殺したくなることでしょう(笑)
つくづくイヤな青春だなぁと思います(二人とも)
これに感動してた人たちってどんなだったんでしょう、全く。