永久結晶

近所の家の角に80センチくらいはあろうかという
大きな雪だるまが作られていました。
その大きさといい、バケツの帽子をかぶっていたり、
石で目鼻が作られているなどという、リキの入れようにもかかわらず
頭が後ろの壁にたたきつけられていて、顔には足跡がついていました。

家の玄関には小さな自転車が停めてあり、
この雪だるまは、その家の子が作ったと思われるわけで、
次の日、自分が作った雪だるまの無残な姿を見て
この子はどう思うのだろう、などと考えてしまいました。

しかし、自分の子供時代を思い返してみて、
果たして雪だるまが壊されたくらいで傷ついたろうか、
少なくともそんな記憶はないな、と後で思いまして。

自分だけの幻想的な世界が他人に壊される、などというのは
子供にとってみたら日常的に起こっていることで、
『ああ、また壊されちゃったな』てな感じで受け流し、
あっさり忘れてしまっている可能性の方が高いですよね。

何が言いたいのかと言いますと、
自分が作ったものを壊されて、子供が傷つくなんていうのは
僕がでっちあげた、偽善的な幻想ではないのか。
壊された雪だるまを見て不愉快に思ったのを、
子供の気持ちなどという、あるかどうかもわからないものに
勝手にすり替えただけではないのか。っていう話です。