トータルバランスについて

ものを作る時に、同時に複数の部分のことを
考えなければいけないときがあります。
別段、芸術作品に限らないと思うんですが
車の作り方なんてわからないので、音楽の話で。

ある和音なり、メロディなりが出来たとしても
それ単体では音楽として成立できず、
和音であれば他の和音との関係などを考えなければならないし、
メロディであればどういうリズムパターンと組み合われるか
などということを考えなければけません。

例えば、映画であれば話は別で、
脚本、演出、撮影、録音、編集などを
一人でやる人はあまりいない。
分業であることが前提となっているわけですね。
全体的なバランスは監督が考えるのかもしれませんが。

作曲はどうも個人作業になりがちです。
個人的になりがちなものと言えば、絵画もそうで、
リンゴを描く、という場合に
キャンバスのどこにリンゴをどう描くか
という空間配置が必然的に問題になってきます。
(壁画だろうと話は同じ)
「俺はリンゴが描きたいだけなんだ!どこに描くかなんて関係ない!」
と言いたい画家もどっかにいるんじゃないかと思うんですが
そういうことはなかなか許されない。

バンドっていうやつのいいところは
セッションしながらアレンジを考えていく段階で、
各パートごとに責任がある程度分散される点ですね。
それが楽だからって言いたいわけではなくて
(まとめる際の葛藤はいろいろあるでしょうから)
そこでは他者が介在することによって
独りよがりなものに閉じていく可能性を排除できるし、
苦手な部分をカバーしあえるわけです。

いったい今日は何が言いたかったのかと言えば、
僕はこのトータルバランスを考えるというのが苦手で、
苦手だから、というのが主な理由だけど
正直に言えば興味もないわけです。

僕が興味があるのは、
ある種の操作でもって音をパターン化することであって、
(上手いこと言えないなぁ)
その、音楽においてはごく部分的でしかないものを
一個の作品として仕上げていく過程は苦手なんです。

理想的なのは操作のみによって
自立した音楽作品として成立させること、なわけですが
そうそううまくいくもんでもなくて、
現状で人に聴いてもらう曲を作ろうと思ったら
苦手なこともやらなきゃならないわけですね。