サム・ペキンパー『ゲッタウェイ』

銀行強盗をしたはいいけど、仲間割れしちゃって、
金を持って逃げることになったドク(スティーブ・マックイーン
逃げるドクと追うルディのモンタージュ
道中、ドクの金をかすめようとしたコソドロと
追われてる途中で何故か追うことになってしまったドクの追いかけっこ。
ここまでならごくごく普通のモンタージュ

しかし、これだけでは終わりません。
ドクとコソドロのシーンのモンタージュでは、
駅ではらはらしながらドクを待つ妻のキャロルの画も繋がれる。
男二人はかなりカメラが近いけど、
キャロルはかなり引いて撮ってるんで、
けっこう異様な場面になる。

冒頭のシーンでは、刑務所の中でのドクの生活のシーンの中に
出所した後のドクとキャロルの映像が繋がれる。
つまりは違う時間のモンタージュ
刑務所で暮らす男の映像に、
何の説明もなく抱きあう男女の画が挿入されるんで
この画面もけっこう異様。

ごみ収集車でのシーンでは、
ゴミまみれでのたうちまわるドクたちと
不気味に光る車のパイプ、大量のゴミ、
生物と無機物と有機物がごちゃごちゃに繋がれ
これまた異様な緊張感を持った画面になる。

ストーリーもかなりおかしい。
やたら丁寧に刑務所の生活を描写したと思ったら、
肝心の銀行強盗は30分で終わり、
逃げるかと思えば追っかける。
なんでもかんでも繋いで繋いで繋ぎまくる
接続強迫神経症映画なのであります。