パソコン教室とポストモダニズム

例えば、ジャズに詳しくなりたいと思ったとしても
何から聴いていいものやらさっぱりわからないし、
オシャレな人になりたいと思っても
どこの店で何を買ったらいいのかさっぱりわらないし、
モテモテなメンズになりたいと思っても
ぴちぴちギャルと仲良くなる方法なんて、やっぱりわからない。
その意味ではパソコンもジャズも洋服も恋愛も一緒ですね。

そういうときガイドのようなものがあると便利で、
東京大学アルバート・アイラー』は
そこに書かれているジャズの歴史が例え偽史だとしても
ガイドとしてはとても有用です。

しかし、今は亡き『ポパイ』や『ホットドッグ』の
恋愛マニュアルは、あまり役に立たない(らしい)し、
経験上、男性ファッション誌って
読み慣れてない人が有用な情報を取り出すのが難しい。

つまり、ガイドにもピンからキリまであって
よいガイドを選ぶのにも知識が必要になります。
東京大学〜』がよいガイドだとしても、
東京大学〜』がいい本だ、という情報を得るのが
素人には難しい、という話。
結局、昨日の話しと同じく無限後退なわけですよ。
どうやっても泥縄でやるしかないんですよね。

これってポストモダン(後期資本主義)特有の問題ですね。
ある種の統一的な価値観が共有されてた時代には、
(「戦争に勝つ」とか「高度経済成長」とか)
何を聴くべきか、何を着るべきか、どう恋愛すべきか
という規範が、ある程度の共通感覚としてあったわけですが、
現代人はそれを自分で勝手に身に付けなくてはいけない。

そしてその情報へのアクセスが寸断されていて、
何らかの手段でスキルを既に得た人はその情報を(無意識に)独占し、
情報を持たない人は、下手をすると一生そこにアクセスできない。
死ぬほどジャズを聴いてる人と、全く聴かない人に分化し、
いつでもモテる人と一生モテない人に分化する。

あと、情報を持ってる人は、
自分がどうやってその情報を得たのか自分でもわからない、
という特徴もあります。
自分のスキルを他者に伝えるスキルも失われている。
これが無限後退の正体であり、
たいがいのマニュアル本が役に立たない理由でもあるわけです。

長々と書いて今日の結論は何かと言いますと、
やっぱりパソコン教室に通おうかしら…冗談ですが。