澤井信一郎「17才 旅立ちのふたり」

ヌーヴェルヴァーグとか、ロマンポルノとか、
予算がなくてセットが組めないとか、撮影時間が限られてるとか、
悪条件の中でもアイデア勝負で
面白い映画を撮ってきた人たちがいるわけです。

僕は今まで全く考えたこともなかったんですが、
上記の人たちが、アイデア勝負が出来て、
少なくとも自由に撮ることができたのに対して、
脚本も与えられたもので、奇抜なアイデアも試せず、
俳優に、十分に演技をつけることも出来ない
といった状況で映画を作らねばならない人もいるのでした。

てか、よく考えてみれば、
ヌーヴェルヴァーグの人たちが参照した、ホークスとかヒッチコック
ある程度はそのような制約を受けていたのかもしれません。
ホークスは制作において制約を受けたことなどないと言っていた、
などという話をどこかで読んだ覚えがありますし、
ヒッチコックがあらゆるアイデアを試しまくっていたのも有名ですが、
与えられたものを過不足なく作ることが彼らの仕事だったことは確かで、
ヌーヴェルヴァーグの監督たちは、
与えられた条件の中で映画を作ることを彼らから学んだのでしょう。

澤井信一郎もそんな職人の系譜に連なる監督で、
脚本にある場面を、最も効果的に演出するための画面を設計し
それをただただ正確に撮ります。
ただ女の子が坂を歩くだけの画面や、
家族が食卓を囲むだけの画面に、わけもなく感動させられてしまうと
物語など無くても映画は成立する、などと言ってしまいたくなります。
もちろんあった方がいいに決まっているんですけど。

今日は何を書いたらいいのかさっぱり思いつかないので
適当に話を膨らめようと試みましたが、ダメでした(笑)
まったく何も考えずに観ていたわけではないんですけど、
「ほぉ〜」とか「すごいなぁ」とか思いながら、
呆けたように画面を見つめているだけだったので。
まぁそういう映画なんです。